身の回りのあらゆる物がインターネットを通じてネットワークと繋がっているIoT社会において、増大し続ける情報を保存できるメモリデバイスの開発が求められています。さらには自動車や船舶、鉄道、航空機に至るまで、あらゆるデバイスの電化・高出力化・自動化が進んでおり、「高温・高周波・高出力でも安定・安全・高効率に動作する小型・軽量」な究極のキャパシタが求められています。これらの課題を解決するためには、従来手法の限界を超えた新しい技術を開発する必要があります
そのような背景から、本研究室では物質における「境界」に着目し、境界で発現する新奇物性を利用することで高度情報材料の創製を目指します。また、「高電場」と「反強誘電体」をキーワードに新材料の合成や誘電特性・絶縁破壊特性の評価にも取り組んでいます。
本研究室では、"モノを作る"と"モノを見る"の2つのテーマを柱に研究を進めています。
"モノを作る"
異なる性質をもつ2つの物質を接合させると、それぞれの特性を有するだけでなく界面での相互作用により新しい機能が発現します。本研究室ではパルスレーザー堆積法(PLD法)を用いて分子層を単位胞のスケールで制御して、欲しい機能を持った材料を自在に設計・創製することに挑戦します。
作製した薄膜試料は、薄膜X線回折装置, 走査型プローブ顕微鏡, 強誘電体評価装置など様々な装置を用いて構造・物性評価を行い、既存の物質では得られない新しい物性の発現を目指します。
"モノを見る"
物質内部は均一ではなく一般的には欠陥が存在します。本研究室ではこの内、トポロジカル面欠陥と呼ばれる境界に着目をしています。境界においては物質がもつ巨視的な性質や構造とは全く異なる物理が展開されることが明らかになってきています。本研究では超短パルスレーザーを用いることにより、境界の特異な物性や構造を非破壊3次元計測します。また、境界において発現する物性を外場により制御することを目指します。これにより既存物質の性能を飛躍的に向上させることが期待されます。
放射光や中性子を用いることでなぜ物性値が増大するのかを明らかにすることに挑戦しています。
ドメイン境界で発現する物理現象の3次元観察および外力によるその制御に挑戦しています。
従来の顕微鏡では困難であったferroaxialドメイン構造の可視化手法を円偏光を用いて確立しました。
動的挙動を非破壊で3次元観察可能な新しい顕微システムの開発を行っています。
薄膜化することによりバルクでは得られない新奇物性を示す物質開発に挑戦しています。
Prof. Mike Glazer University of Oxford & University of Warwick (U.K.)
Prof. E.K.H. Salje University of Cambridge (U.K.)
Prof. Nan Zhang 西安交通大学 (China)
Dr. Semën Gorfman Tel Aviv University (Israel)
Dr. Marek Pasciak FZU, Institute of Physics of the Czech Academy of Science (Czech)