研究内容
身の回りのあらゆる物がインターネットを通じてネットワークと繋がっているIoT社会において膨大し続ける情報を保存することができるメモリデバイスの開発が求められています。また、デバイスの小型化に伴い、より高い性能を示す材料探索や加工技術の開発が進められていますが、従来の手法には限界が近づいており新しい技術の開発が求められています。
本研究室では、物質に存在する「境界」に着目をし、境界において発現する新奇物性を利用することでこの課題を解決することを目指します。
研究テーマ
本研究室では、"モノを作る"と"モノを見る"の2つのテーマを柱に研究を進めています。
"モノを作る"
異なる性質をもつ2つの物質を接合させると、それぞれの特性を有するだけでなく界面での相互作用により新しい機能が発現します。本研究室ではパルスレーザー堆積法(PLD法)を用いて分子層を単位胞のスケールで制御して、欲しい機能を持った材料を自在に設計・創製することに挑戦します。
作製した薄膜試料は、薄膜X線回折装置, 走査型プローブ顕微鏡, 強誘電体評価装置など様々な装置を用いて構造・物性評価を行い、既存の物質では得られない新しい物性の発現を目指します。
"モノを見る"
物質内部は均一ではなく一般的には欠陥が存在します。本研究室ではこの内、トポロジカル面欠陥と呼ばれる境界に着目をしています。境界においては物質がもつ巨視的な性質や構造とは全く異なる物理が展開されることが明らかになってきています。本研究では超短パルスレーザーを用いることにより、境界の特異な物性や構造を非破壊3次元計測します。また、境界において発現する物性を外場により制御することを目指します。これにより既存物質の性能を飛躍的に向上させることが期待されます。
最近の研究内容
巨大物性発現機構の解明
放射光や中性子を用いることでなぜ物性値が増大するのかを明らかにすることに挑戦しています。
境界における物性制御
ドメイン境界で発現する物理現象の3次元観察および外力によるその制御に挑戦しています。
円偏光光第2高調波
従来の顕微鏡では困難であったferroaxialドメイン構造の可視化手法を円偏光を用いて確立しました。
3次元顕微システムの開発
動的挙動を非破壊で3次元観察可能な新しい顕微システムの開発を行っています。
PLD法による新物質開発
薄膜化することによりバルクでは得られない新奇物性を示す物質開発に挑戦しています。
主な国際共同研究先
Prof. Mike Glazer University of Oxford & University of Warwick (U.K.)
Prof. E.K.H. Salje University of Cambridge (U.K.)
Prof. Nan Zhang 西安交通大学 (China)
Dr. Semën Gorfman Tel Aviv University (Israel)
Dr. Marek Pasciak FZU, Institute of Physics of the Czech Academy of Science (Czech)